外務省外交史料館

◎2018年6月2日土
 
 本館にて杉原千畝外交官(カウナス領事代理)に関する資料を展示。第二次世界大戦期の枢軸国では、連合国の大西洋憲章に相当する共通の構想、理念を持ち合わせておらず、殊に人種政策に対しての日独間の連携は不一致。日本人は、支配下の朝鮮人や中国人に対する露骨な優越意識又は差別意識を持ちつつも、欧州の反ユダヤ主義に対しては無関心、迫害の歴史的背景を経験ではなく書物から入手した知識によって理解するのみ。白昼堂々と繰り広げられるユダヤ人への暴力行為を目の当たりにして、冷徹で功利主義的な外交官であっても、身を持って人道主義を示すべきと、職務に対する強い誇りと使命感を喚起したのだった。
 外務事務官らしからぬ人道博愛精神の決行は、案の定本省にて訓命違反の事案として問題視され、杉原領事代理は事実上の免職処分。終戦後の我が国の国是は、米国との利害の一致又は米国への従属。ホロコーストの実態や、ユダヤ系アメリカ人の影響力を慮るならば、省内でみっともない内輪揉めを行う以前に、戦犯(ナチスドイツ)と軍事同盟を締結していた我が国の汚名挽回に向けて、切り札の温存とその活用を真っ先に検討すべきではなかったのか。