マキャベリから学ぶ経営戦略 君主論11

◎マキャベリから学ぶ経営戦略
 君主論 第9章 市民型の君主国について

・ 貴族の支持でなった君主は、君主を対等だと思っている大勢の仲間に取り巻かれており、君主は自分の意志で命令したり、操ったりすることができない。貴族たちの要求に応じるためには、公明正大を掲げて第三者に危害を及ぼさないということができない。
・ 民衆の支持でなった君主は、独立した立場にあり、民衆の願いは貴族の欲望よりはるかに穏やか。民衆は多人数であるため、民衆を敵に回す君主は安閑としていることはできない。君主が民衆を敵視する場合、起こりうる最悪の事態は、民衆から見放されることである。
・ 貴族について言えば、あなたと運命共同体的な態度で接しているか否かという点で判別できる。信頼関係で結びついている貴族に対しては、賞揚し大切にしなければならない。小心又は意気地なしで服従を躊躇している場合は、彼らを登用しなければならない、立派な見識を持っているような場合は尚更。野心的な理由があって服従しないでいる場合は、潜在的な敵として警戒しなければならない。あなたの命運が逆境に転じれば、必ずや君主の滅亡に手を貸すだろうから。
・ 民衆の支持によって君主となる者は、常に民衆を味方につけること。貴族の後押しで民衆に対抗して君主となった場合であっても、まず何よりも、民心を掌握するよう力を尽くさなければならない。人間というものは、危害を加えられると信じていた相手から恩恵を受けると、通常授けてくれる場合以上に恩義を感ずるものだから、一層深い好意を寄せることになるだろう。
・ 民衆の上に土台を築き、指導的な立場にあり、決断力を持ち、逆境にあっても慌てふためかず、諸般の準備を怠らず民衆の気持ちを勇気と規律をもって掴んでいれば、決して民衆に欺かれることはない。賢明な君主は、どのような時勢になろうとも、民衆に対して、自分の政権が必要不可欠であると認識させる方策を考えていなければならない。そうすれば、民衆は君主に対して、いつまでも忠誠を尽くすであろう。




 事業資金を金融機関や投資家などの外部から調達する場合、企業は、顧客からお金を吸い上げ、これを債権者や出資者に分配する義務を負うこととなります。企業にとっての事業活動とは、顧客利益のためではなく、債権者、出資者、経営者自身の利益のために行われるものです。
 しかしながら、上記の場合であっても、経営者は第一に消費者(顧客)に対して、自社の製品やサービスが消費者(顧客)に支持されるよう、消費者(顧客)の日常生活において必要不可欠であると認識されるよう、顧客ロイヤリティの確保に努めなければなりません。長期に亘って高い満足度を維持するとともに、顧客自ら推奨者としての役割を担ってもらう、という状態を目指すということです。推奨者になってもらうことで、非友好的な消費者又は無関心層の追従を期待することができます。
 ソーシャルゲームのように、ユーザー側の知性の弱さに付け込んで課金を煽るような手口や、テレビショッピングのように、マインドコントロールマーケティングに偏重した販売手法は、長い目で見れば有効な手段とは言えません。
 顧客ロイヤリティの確保にあたって留意すべきこととは、建前では「お客様目線」を重視しつつも、対等の立場で双方向のコミュニケーションを取ってはならないということです。SNSなどを介した双方向のコミュニケーションは、形式だけで構わないということです。マキャベリの理論に従えば、消費者(顧客)は、身近で親近感のある相手より、近寄りがたく畏怖の念を抱かせるような相手から、受動的に恩恵(付加価値の高い製品やサービスの提供)を受ける方が、より一層の恩義(顧客ロイヤリティ)を感じるということになります。