富裕層が住む地域(2) 神奈川県

◎2015年9月10日木曜日
 
 総務省「市町村税課税状況等の調」の3か年分のデータ(2012~2014年)に基づいて、神奈川県における市町村別の1人当たり平均年収、1世帯当たり平均年収、世帯平均不労所得(株式譲渡、利子、配当、賃料収入など)を試算する。試算の過程で、総務省統計局「平成22年国勢調査」の人口・世帯のデータを活用する。

 総務省「住宅・土地統計調査」に基づく試算の場合、政令指定都市の横浜市では、東急田園都市線沿線の青葉区、港北ニュータウンや大型商業施設が立地し、日常生活の利便性の高い都筑区など、市の北西部のエリアに富裕層が多く住んでいる実態が分かるのだが、総務省「市町村税課税状況等の調」では、区毎のデータが掲載されていないため、世帯平均年収などの数値は大雑把な把握に止まる。同様に川崎市でも、総務省「市町村税課税状況等の調」では、裕福な層は、海側より山の手側の方に多数住んでいるといった実態が見えてこない。
 神奈川県は概して世帯平均年収が高い。エリア別では、京浜工業地帯の工場が集積した東京湾沿岸より、相模湾東部(湘南海岸沿い)に位置するエリア、具体的には、葉山町、逗子市、鎌倉市、藤沢市、茅ヶ崎市などの世帯平均年収が高い傾向となっている。
 古くから東京の別荘地(保養施設)が整備されてきた葉山町では、海沿いの高級住宅地に富裕層が大勢住んでおり、高級志向の事業用不動産は、収益率高めと推測される。逗子市では、神奈川県を代表する高級住宅地(披露山庭園住宅)が立地する。観光都市といったイメージが先行した鎌倉市では、高台を中心に高級住宅地が広がっており、芸能人をはじめとした各界の著名人の豪邸が立ち並ぶ。貧困層の人口に占める割合も低めとなっている。大磯町は、葉山町と同様古くから別荘地として開発され、三井財閥などの政財界の奥座敷として選好されてきた。現在でも富裕層が多数住む地域として、在りし日の面影を偲ぶことができる。同じく別荘地として発展してきた歴史を持つ藤沢市と茅ヶ崎市では、湘南ライフタウンなどの新興住宅地が開発され、富裕層というより比較的所得の高い層が流入したことが、世帯平均年収の押し上げ要因となっている。
 箱根温泉は、年間2,000万人超の入込観光客数を有する首都圏有数の温泉地であるが、箱根町の世帯平均年収は低い。娯楽の多様化によって、箱根温泉に限らず全国各地の温泉街は衰退一途、人口も減少。近年では宿泊業を中心に業績の回復傾向も見られるのだが、住民の所得向上に繋がるかどうか。